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暗黒童話
Dark Marchen
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「困ったわ。私の体がみあたらない!」
 大好きなおばあさまの家へ行く途中だったのに、私の体ったらどこへ消えてしまったの?
 ただひとつ残されたのは、真っ赤なずきん。
 ぽたりぽたり、しずくの落ちるそれをかぶって、暗い暗い暗い森の中へ探しに行くことにしたの。
 だってそうでしょう?
 体のない私を見たら、おばあさまはきっと驚いてしまうわ!
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「まったく、なんて面倒なんだ」
 一方、赤ずきんの知らない場所では、魔女が嫌そうに頭をかいていました。
 大がまに水鏡に占い札。へびにかえるにこうもり。あんまり呪術は得意じゃないけれど、魔女は形から入る性格なのです。
 豚のように文句を垂れながら、魔女は水鏡を覗いて、大きく深いため息をつきました。
「ややこしいことになったもんだよ」
 水鏡の中で、狼が暗い森をさまようのを見つめて、魔女はもう一度、息を吐くのでした。
 この森はとっても暗いのね。先が全然見えやしないわ!
 でも不思議ね。私の方へ向かって歩いてくるあの両足だけははっきり見えるのよ。私のずきんとおんなじ色のお靴。
 とことこと、まるで何を探しているみたいだわ?
「ねぇ、可愛いお足さん。いったい何をしているの?」
 声をかけると両足は私に寄り添って、でも何を言ってるのか何も言ってないのか、私にはさっぱりなの。
 ひとつわかるのは、この子は私の足じゃないってことだけ。
 あら? 足は私についてくる気みたい。いいわ、一緒に行きましょう。
「おやおや、赤ずきんのお嬢さん。こんなところで何をしているのかな?」
「まぁ、こんにちはきこりさん。それが私にも分からないのよ」
 赤い靴のお足さんはちょこりとひざを折ってごあいさつ。きこりさんはまた「おや」とつぶやいて、こう言ったわ。
「赤い靴の目指す場所はもっと向こうだよ」
 きこりさんが奥を指さすと、お足さんは嬉しそうに駆けていってしまったの。
 私はあの子の後を追おうとして、でもひとつだけきこりさんに聞きたいことがあった。
「ねぇ、私はどこへ行くべきかしら?」
「それは分からない。君の目指すべき場所は絶えず動いているから」
 どういうこと? そう聞きたかったのだけど、これ以上居ては赤い靴を見失ってしまうから……。
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